Character Motion Studio
PUPPET / PIN / DEFORMATION

パペット機能とは何か|1枚のイラストを描き直さずに動かす仕組み

パペット機能は、静止画のキャラクターに制御点を置き、元の絵を再生成せずに一部を引っ張ったり曲げたりする方法です。大きな向き変更を作る機能ではなく、既存のイラストへ揺れ・しなり・弾みを加える技術として考えると役割が分かりやすくなります。

公開:2026年9月16日更新:2026年9月29日テーマ:2Dパペット / ピン / メッシュ変形
最初に押さえるポイント

「パペット」は一つの技術名ではありません。ピンで画像を変形する方式、パーツを回転させる方式、ボーンで骨格を組む方式などが含まれます。Character Motion Studioのパペットは、選択したレイヤーへピンを置き、その移動を周囲へ伝えて画像を局所変形する方式です。

パペット機能とは何か

パペット機能とは、静止画のキャラクターに「ピン」や「関節」に相当する制御点を設定し、その一部を動かすことでイラストを人形のように変形させる機能です。

ただし、パペットという言葉は広く使われています。ソフトによって、画像変形、パーツアニメーション、骨格リグ、モーショントラッキングまで同じ言葉で呼ばれることがあります。

種類仕組み主な用途
ピン・メッシュ方式画像上の点を動かし、周囲の画素やメッシュを変形する髪、服、しっぽ、柔らかい体
パーツ方式腕や頭を別レイヤーとして移動・回転する手振り、歩行、首振り
ボーン方式骨と関節を作り、画像やメッシュを骨格へ連動させる人型キャラクター、全身運動
モーショントラッキング方式カメラなどから顔・身体の動きを取得して反映するVTuber、会話キャラクター

Character Motion Studioの「パペット」機能は、この中では主にピン・メッシュ方式です。Character Motion Studioには別にボーン機能もありますが、パペット自体が自動で全身骨格を生成する機能ではありません。

パペットが動く基本ロジック

パペットでは、画像の上に複数の制御点を置きます。例えばキノコキャラクターの傘を揺らすなら、中央付近を形の基準として残し、左右の端へ動かすピンを置く、といった考え方です。

右端のピンを上へ動かしても、その点だけが移動するわけではありません。ピンの移動量が周囲へ伝わり、画像の一部が連続的に引っ張られます。

PUPPET FLOW 元画像\n ↓\n画像を変形用の格子・三角形へ分ける\n ↓\nピンの基準位置と影響範囲を持つ\n ↓\nピンを移動する\n ↓\n周囲の頂点を連動させる\n ↓\n三角形ごとに画像を変形して描画する

Character Motion Studioの現行実装では、レイヤー内部を格子へ分け、それぞれのセルを2つの三角形として変形します。分割数は固定10×10ではなく、パペットの影響半径やほかの変形方式に応じて細かさを上げる実装です。各ピンは基準位置、現在位置、影響半径を持ち、ピンからの距離に応じて移動量を重み付けします。

毎回AIで別ポーズを再生成する方式ではなく、元の画素をメッシュ変形して描画するため、小さな動きでは元の線や色を保ちやすいのが利点です。

固定する場所と動かす場所を分ける

自然に変形させるには、動かしたい先端だけでなく、動かしたくない場所にも基準となるピンを置きます。

例えば腕を曲げたい場合、手首だけを大きく引っ張ると肩や胴体側まで変形しやすくなります。そこで、肩付近のピンは元位置に残し、肘付近で変形の流れを作り、手首側のピンを実際に動かします。

肩付近
元位置から動かさず、変形を胴体へ広げすぎない基準にする。
肘付近
腕の曲がり方を整える中間点として使う。
手首付近
実際にドラッグし、見せたい動きを作る。

Character Motion Studioには「固定ピン」という別種類のピンがあるわけではありません。元位置から動かしていないピンは移動量が0なので、周囲の変形を抑えるアンカーとして機能します。

ピンを増やせば必ず高精度になるわけでもありません。互いの影響が増えるほど変形を予測しにくくなるため、最初は少数のピンから始め、形が崩れる場所にだけ追加する方が扱いやすくなります。

腕や髪が周囲まで引っ張られる場合は「パペットでゴムのように伸びる原因」で、固定点・操作点・部分パペットまで含めて切り分けています。

Character Motion Studioでの基本的な使い方

素材制作画面・アニメーション編集画面では、選択したレイヤーに対してパペットピンを追加できます。

  1. 動かしたい画像または描画レイヤーを選択する
  2. パペットツールへ切り替える
  3. レイヤー上のピンがない場所をタップ/クリックしてピンを追加する
  4. 形を残したい場所には、動かさない基準ピンを置く
  5. 既存のピンをドラッグし、変形を確認する
  6. 変形が広がりすぎる場合は、基準ピンやレイヤー分割で対象範囲を整理する

既存のピンを選ぶとドラッグ操作になり、ピンがない場所を選ぶと新しいピンが追加される設計です。各ピンの状態はレイヤー内のデータとして保持されます。

また、四角選択や投げ縄選択で領域を囲み、その範囲を独立したレイヤーへ切り出してパペット対象にできます。「髪だけ」「帽子の先だけ」「腕の一部分だけ」を動かしたい場合に有効です。

PUPPET IN CHARACTER MOTION STUDIO

まずは1枚の素材で、少しだけ曲げてみる。

パペットは大きなポーズ変更より、髪・服・柔らかい身体などの小さな変形から試すと挙動を把握しやすくなります。

現行Character Motion Studioでできること・タイムラインとの関係

パペットピンは各レイヤーの状態としてID・基準位置・現在位置・影響半径を持ちます。画像レイヤーと描画レイヤーの両方へ局所変形を適用できます。

タイムラインでは、残したい時刻で◆状態キーを押すと、選択レイヤーのTransform、Puppet、Boneを同じ時刻へまとめて登録します。パペットピンは前後の登録状態の間で補間されるため、「その場で曲げる」だけでなく、時間に沿って形を変えることもできます。

機能現行の扱い
レイヤーへのピン追加対応
ピンのドラッグによる部分変形対応
四角・投げ縄範囲を切り出して部分パペット対応
位置・回転・サイズなどのTransform状態◆状態キーへ登録
パペットピンの時間変化◆状態キーへ登録し、前後を補間
ボーン姿勢リグがある場合、◆状態キーへ同時登録
Path変形別のPathキーフレームとして時間補間
カメラによる顔・身体トラッキングパペットの中心機能ではない

現在のTransformとパペットの補間は基本的に線形です。パペット専用のベジェ/イージング曲線を直接編集するUIは現在ありません。速度感を変えたい場合は、中間の状態キーを置く時刻と変形量で調整します。

曲げたのに再生すると元へ戻る場合

タイムライン上の変形が一時プレビューのままになっていないか確認します。詳しい手順はパペットとタイムラインでアニメーション化する記事で整理しています。

パペット機能の主な目的

1. 描き直す枚数を減らす

アニメーションでは、腕を少し曲げるだけでも複数の絵が必要になります。パペットなら元の絵を利用したまま中間状態を作れるため、すべてを描き直す必要がありません。

2. キャラクターらしさを維持する

生成AIで動きの異なる画像を毎回作ると、目、輪郭、色、装飾などが少しずつ変わることがあります。パペットは元画像そのものを変形するため、小さな動きでは再生成より元のキャラクター性を維持しやすくなります。

3. 小さな動きを加える

パペットが特に向いているのは、大きな角度変更よりも次のような動きです。

  • 身体が上下に弾む
  • 髪や葉が揺れる
  • 服やマントがなびく
  • 帽子の先が動く
  • 身体が少し潰れて戻る
  • 柔らかい腕や触手が曲がる

Character Motion Studioで考えられる具体例

キノコキャラクターを弾ませる

キノコの軸の下部を基準として残し、傘の中央と左右へピンを置きます。着地するときだけ傘を少し横へ広げ、軸側を縦に縮め、その後元の形へ戻すと柔らかく弾む印象を作れます。

コーヒー豆キャラクターを歩かせる

画面内の前進そのものは位置、手前へ近づく表現はスケール、身体の弾みだけパペット、というように役割を分けます。

EXAMPLE 位置:画面奥 → 手前へ移動\nスケール:35% → 55% → 75% → 110%\nパペット:左右の傾き・着地時の潰れを追加

大きな移動をメッシュ変形で作るより、位置とスケールへ任せ、パペットは身体の柔らかさへ使う方が制御しやすくなります。

手を振る

腕が胴体と一体化した画像なら、肩側を基準として残し、肘と手へピンを置いて曲げます。腕が独立パーツなら、肩を回転軸としてレイヤー自体を回す方が輪郭を保ちやすい場合があります。肘から先のしなりだけパペットで補う、といった組み合わせが適しています。

パペットを使わないほうがよい場面

パペットは、見えている画素を変形する技術です。元画像に存在しない側面や背面を作ることはできません。動きの種類に応じて、別の方法へ任せた方が自然です。

作りたい動き適した方法
キャラクター全体を移動位置キーフレーム
全体を拡大・縮小スケール
腕などの硬いパーツを回すパーツ分け+回転
髪や服を曲げるパペット
正面から側面へ向きを変える別角度素材
目を閉じる・口を開く表情パーツの差し替え
隠れていた背面を表示する多角度生成・追加描画

正面画像を横へ引き伸ばしても、見えていなかった側面の情報は生まれません。大きく向きを変える場面では、Character Masterと保存済みアングルを利用する方が適しています。

Character Motion Studioに合う使い分け

Character Motion Studioでは、すべてをパペットで動かすより、パーツ・通常変形・ボーン・保存済み角度と組み合わせる方が制作フローに合っています。

頭・胴体・腕・脚
必要に応じて別パーツとして移動・回転、またはボーンを使う。
髪・帽子・服・しっぽ
パペットで柔らかく変形する。
目・口
表情素材を差し替える。
キャラクター全体
位置・スケール・回転で動かす。
大きな角度変更
Character Masterと保存済みアングルを使う。

作業順も、最初に大きな位置とスケールを決め、次にパーツやボーンの動き、最後に髪・服・手先などへパペットの細かな揺れを追加する方が整理しやすくなります。

背景が残ったままではパーツや変形を再利用しにくいため、素材化の前段階については背景透過を「独立した素材」にする仕組みも関連します。

パペットは「全部を動かす機能」ではない

既存の移動・回転・ボーン・角度素材へ柔らかさや生命感を追加する役割として使うと、Character Motion Studioの機能を分担しやすくなります。

まとめ

パペット機能は、1枚のイラストを毎回描き直す代わりに、画像上のピンと周囲のメッシュを変形して小さな動きを作る方法です。

Character Motion Studioでは、ピンの基準位置・現在位置・影響半径を使って局所変形し、タイムラインではそのパペット状態を◆状態キーへ記録して前後を補間できます。

大きな移動は位置、硬いパーツは回転やボーン、向き変更は別角度、表情は差し替え、柔らかな揺れや曲がりはパペット。この役割分担をすると、元のイラストを保ちながら動きを追加しやすくなります。

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